建長二年の秋性信坊夢想によってみつから過去生の枯骨の所在をしり
奥州信夫郡土湯山に至時に一の猟人あり
師云く 此松下に我過去生の枯骨あり汝是を掘て得さすへし と
猟人云く 我業をなさゝれは明日の糧なし とて肯はす
依て性信坊猟者の持ところの(竹+弓)箭をとって
石上に投すれは其箭おのれと発し一鹿を射たり 師則是をあたふ
猟人驚ひて其凡ならさるを悟り直に松下を穿ち既にして枯骨を得たれは
性信坊歓喜踊躍し竟に其地を封して一の精舎を営み
号けて法得寺といひける

  (注)図会は「性信坊過去生枯骨」を報恩寺の寺宝と記している。