葛西の辺は人家の後園あるは圃畦にも悉く四季の草花を栽並はへるかゆゑに芳香常に馥郁たり
土人開花の時を待得てこれを刈取 大江戸の市外なる花戸に出して鬻ぐ事もっとも夥し
この絵が示す地域は葛西のどの辺かは明確でない。
しかし、前節の木下川薬師堂の弁天池は季節には杜若の名所として多くの人を集めていたというし、
現存する堀切菖蒲園は、図会が準備されていた文化年間に農民伊左衛門が植えたのが始まりという。