図版「神奈川総図」の遠景にある「平尾物見の松」は「平尾内膳物見ノ松」と呼ばれ、地元では短縮して「内膳松」(明治以降は単に「一本松」)と言っていたようだ。
 関東大震災前の記録はあるが昭和末期には緑地だけの痕跡になり、平成に入っての近年住宅が建ってしまったとのこと。
 神奈川区総合庁舎北の交差点から山側へ150mの五差路を左に入ってさらに坂を登りつめた眺望の効く場所だが、自転車を押して上がる坂なので、本文やルート図での紹介も止める。

 なお、「平尾内膳」は、戦国時代初期にこの山麓一帯に勢力をもっていた北条家臣で、居館は山の南側の現市立中学の敷地だったようだ。