ヨドバシは、現在では全国展開を図っているマルチメディア家電を扱っている量販店名が最も知られている。この店は渋谷が本店の藤沢写真商会で、新宿駅西口に支店を設けたのは、昭和42年である。
新宿駅西口の淀橋浄水場跡の開発計画は決まっていたが、第一号の京王プラザホテルがようやく建設計画を発表した年である。銀座と地価日本一を競っていた新宿駅東口に較べると西口は駅裏で、通人は「西口」と言わずに「角筈口」と言っていたし、ランドマークは廃されたとはいえ淀橋浄水場だった。 第二次安保闘争で反戦活動の若者たちがフォークソング集会を開いていた2年後、藤沢写真商会は本店をこちらに移してヨドバシカメラと改称した。本店の所在地の旧地名は「角筈」で現在では西新宿1丁目である。「淀橋」の地名は浄水場から神田川にかけて使われていたものである。 そんなこともあって店の名をカタカナにしたのかもしれない。 地名としての淀橋は、新住居表示で消えたが、その前は昭和7年に大合併で淀橋区として東京市の行政区になり、昭和22年の新宿区移行までの間に設けられた淀橋区内の諸施設に淀橋の名は残っている。 さらに先だって淀橋という地名を持っていた角筈村と淀橋姿(ヨドバシ)という地名を持っていた柏木村が明治22年に合併して淀橋町ができていたことも系譜としては重要であろう。 しかし、京阪を流れる淀川に因んで台命により「姿見ずの橋」から改名したというこの橋が原点である。 |