「十羅刹女」というのは、十種類の悪業それぞれを性(さが)としてしまった十体の女の悪鬼である。原仏教では悪業の種類も多く、男女の羅刹があり、鬼子母神はその代表であったり別格だったりする。救いようのないように見えた鬼神でも仏に帰依したことにより、一転して仏法を護る立場になったという教えである。
 十体の羅刹に絞って布教したのは日蓮上人で、羅刹ほどの業の深さはなくても羅刹ほどの信仰の深さに及ばないと意識した人々(特に女性)に広まったようだ。